栄養補助食品の上手な使い方

在宅医療情報

 最近は「栄養補助食品」も沢山種類があり、どのような栄養補助食品を使ったら良いのか?と悩まれる方も増えていると思います。ここではざっくりと「栄養補助食品」の上手な使い方を考えてみたいと思います。

■理由・目的:何のために栄養補助食品を使用するのか?

 患者さんが「栄養補助食品を使おう!」と思い至るようになるのは下記のような理由が多いかと思います。

・食欲がなくなり、できるだけ少量で高カロリーなものを摂取したい

・嚥下が難しくなり、飲み込みやすい形態でしっかり食事を摂取したい

・特定の栄養素が不足しているので補充したい

・誰か(有名人や友人など)が「これを飲むと良い」と言っていたので使ってみたい!

どの理由・目的も重要で、まずはこの理由・目的をはっきりさせるのが大切だと思います。でないといつの間にか「あれ?なんでこのゼリーを食べているんだっけ(食べさせているんだっけ)?」というような事態に繋がりかねません。

■評価・効果判定:栄養補助食品を使ったら効果があるのか、ないのか?

 上記のような理由・目的で栄養補助食品を使ったら効果があったのか、なかったのか、を判定することは重要です。万全と効果がないものを摂取しつづけるのは手間やコストを考えるともったいないです(栄養補助食品は高価なことも多いですし・・・)。例えば目的毎に以下のような効果判定が考えられます。

・カロリーを摂取したい!

→体重が増えているか/減っているか。太ったか/痩せたか。

・特定の栄養素が不足しているので補充したい!

→採血などで栄養素の数値が上昇したか。栄養素を取ったことに関連して症状が改善したか。

・誰かが良いと言っていたので使ってみたい!

→身体が元気になるなど「良い効果」が実感できたか?

上記のような効果判定を行なって、最終的に継続するかどうかを判断します。効果判定は自己満足でも良いと思います。特に、在宅療養や介護の現場で自己満足で「良い効果」が出るならむしろ上出来だと思います。医学的に悪い効果が出ていないかの評価を医療者に任せると良いと思います。

■さらに良いものが無いか、副次的効果がUPしたものがないか調査を継続

 継続する、となった場合もさらに良いものがないかの調査を継続することが重要です。というのも、最近は科学の進歩も早いのでどんどん良いものが出てきている可能性が高いからです。例えばカロリーを摂れるのは当たり前として、味が美味しいとか、とろみを付けやすくなっている、など副次的な効果がUPしている別のものがあることがあります。また、どうしても同じ食品を取り続けることは飽きてしまったり栄養等が偏ってしまったりすることに繋がるので、できれば様々なものを組み合わせるのが望ましいです。数年前まで「良い」とされていた食品も暫く経つと新しい知見が出て「実は悪いものだった」とされることもあります(その逆もしかりです)。

最後に、当院も患者様から様々な食品・栄養補助食品についてご相談をいただくことがあります。特に最近のブーム(?)として感じるのは「油・オイル」についてのご相談が多いです。オリーブオイルは一般家庭でもよく使われますが、米油、アマニ油、MCTオイル、CBDオイル、ロイヤルゼリーオイルなどなど様々なものがあります。是非上記のように目的や効果判定をしながら(少し堅苦しいかもしれませんが・・・)、楽しく健康な日々を送れる一助となると良いですね。

PS.

つい最近、「ごはんを食べる量が減ってきて困っていて・・・」という高齢患者さんがキューピーの「ごはんにあうソース」を白米にかけるようにしたらものすごく食べるようになった!という経験をしました。今まで色々と「甘い」栄養補助食品を試してみてダメだったけど、「しょっぱい」ものはお好きだったようとのことでした。これはほんの一例ですが、美味しく楽しく栄養を摂れるようになると介護している側もとても嬉しくなりますね。

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