便が出ない!(便秘薬一覧)

在宅医療情報

 「便が出ない!」という相談は、在宅医療で患者さんから最も多く受ける相談と言っても過言ではありません。便が出ない辛さは、患者さん達の訴えや相談時の表情を見ていると非常につらいものであると考えられます。私が大きな病院に居た時「便が出ない」という症状で救急車を呼ぶ患者さんにも沢山出会いましたが、それくらい辛いものだったのでしょう。

 便が出ない原因は沢山あります。まずはその原因をはっきりさせることが重要です。少し怖い話ですが、大腸癌・直腸癌があるせいで便が出ない、なんてこともあります。まずは便秘の原因を主治医の先生とよく相談してはっきりとさせましょう。

 「便が出ない」という症状は同じでも、便が硬くてでない、お腹に力が入らなくて出ない、食欲がなくて食事量が少なくて出ない、など種類も色々とあります。便秘の原因と合わせて、便の出にくさのタイプも重要になります。また、パーキンソン病の人に特有の便の出にくさがある場合や、飲んでいる薬のせいで便が出にくい場合など、合併症や治療中の病気に便秘が関連するかもしれません。

上記を考えた上で、便秘薬を上手く使っていくことが便を出せるようにしていきます。下記に便秘薬をいくつか挙げていきます。

・便を柔らかくする薬(酸化マグネシウム、アミティーザなど)

 酸化マグネシウム(通称「カマ」)は聞いたことがある方も多いと思います。便に含ませる水を増やして、便を柔らかくしてくれます。よく使われる薬ですが、下痢や合併症(高マグネシウム血症)などには注意が必要です。

・腸を刺激する薬(センノシド、アローゼン、ピコスルファートなど)

 大腸を刺激して便排出を促してくれる薬です。内服した12時間後などに排便があることが多く、使いやすいと言うかたも多いと思います。長期連用していると効きにくくなることや、硬い便が溜まっている場合は腸に負担をかけてしまうおそれなど注意点もあります。

・胆汁酸の作用で便を出しやすくする薬(グーフィス)

 胆汁酸が腸で吸収されるのを邪魔して、便を柔らかくしたり腸の動きを活性化させたりしてくれる薬です。「食前」内服なのが意外と負担になったりします。

・浣腸して出す薬(グリセリン浣腸液)

 浣腸によって便を出すのに用います。市販の「イチジク浣腸」などは有名です。ご自身で実施するのが難しい場合は看護師さんなどに実施してもらいましょう。

 「トイレに座る」という行為だけでも便が出やすくなると言われています(直腸が真っ直ぐになるとか)。生活環境や心理状態など様々なことが便秘には影響します。便秘の悩みは一人で抱え込まず、周囲の医療者や介護者の方みんなで相談して対処していきましょう。

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