身体障害者手帳と障害年金

在宅医療情報

 怪我や病気などで残念ながら「身体障害者」になってしまう方がいます。現代において「身体障害者(障がい者)」の定義は難しいかもしれませんが、身体障害者福祉法では身体上の障害を定めています。身体障害者福祉法の中でも第15条という部分では身体障害者手帳の申請について規定しています。

◯身体障害者手帳の申請

 下記の障害がある方は都道府県知事の定める医師(いわゆる身体障害者福祉法指定医)の診断書を添えて身体障害者手帳の交付を申請することができます。

  1. 視覚障害
  2. 聴覚又は平衡機能の障害
  3. 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
  4. 肢体不自由
  5. 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害
  6. ぼうこう又は直腸の機能の障害
  7. 小腸の機能の障害
  8. ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
  9. 肝臓の機能の障害

 ちなみに指定医の先生であっても上記全ての障害の診断書を書ける訳ではありません。例えば当院の院長山田も指定医ではありますが肢体不自由、平衡機能障害、音声・言語機能障害、そしゃく障害についてしか診断できません。まずはご自身の障害が身体障害者手帳の申請対象となる障害なのか確認し、かかりつけの先生が診断書を書けるか確認してみて下さい。

 なお、指定医の先生については一覧を公開している自治体と公開していない自治体があります。東京都はホームページでの公開をしていないため、障害福祉担当窓口に問い合わせが必要です。

東京都の身体障害者手帳に関する相談先。

身体障害者手帳に関する手続き及び相談等の区市町村窓口一覧 東京都福祉局

◯身体障害者手帳の等級

 身体障害者手帳を申請すると、障害の程度に応じて「等級」がつけられます。ざっくりと言うと重症なほど1級、軽症なほど7級として1~7級の間の等級がつけられます(実際はそんなに単純ではありませんが)。等級については厳密な定義があり(身体障害者障害程度等級表:身体障害者福祉法施行規則別表第5号)、それに基づいて決定されます。

◯身体障害者手帳を持っていると

 身体障害者手帳が交付されるとその等級に応じて様々な福祉サービスを受けることができます。受けられるサービスは障害の種類、等級、さらには自治体により異なります。各自治体の相談窓口でしっかり相談して、できるだけ不自由なく生活できるように環境を整えていきましょう。

 東京都中野区の身体障害全般のご相談。

身体障害のある方のご相談

◯身体障害者手帳と障害年金は全く別物!!

 さて、ここで注意が必要なのはこれまで解説してきたのは身体障害者手帳についてであって、同じような名前の障害年金とは全く異なるものだということです。極論すると身体障害者手帳と障害年金は全く関係ありません。ですので身体障害者手帳があれば障害年金を受けられるわけでもないし、障害年金を受けていると身体障害者手帳が交付されるわけでもありません。

 障害年金とは障害がある方が受け取る事のできる年金で、厳密には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。障害年金の請求先は日本年金機構となります。障害年金の受給要件、請求期間、年金額については細かな取り決めがあります。詳しくは下記サイトをご覧になってみて下さい。

日本年金機構、障害年金

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/index.html

 さらにさらにややこしいのが、障害年金にも「等級」の取り決めがあるということです。ですがこの等級は身体障害者手帳の等級とは無関係のものです。身体障害者手帳の等級は1~7級までありましたが、障害年金の等級は1~3級までしかありません。

 身体障害者手帳と障害年金についてのまとめは下記です。

 身体障害者手帳障害年金
申請対象(交付主体)都道府県知事など日本年金機構
申請時に医師診断書必要必要
診断書が書ける医師指定医のみ障害の診断ができる医師
等級1~7級1~3級
受けられるもの福祉サービス年金

 自分自身や御家族が障害者になってしまったら、身体障害者手帳と障害年金の申請を忘れないように実施して生活を整えていきましょう。両者の制度には細かな規定がいくつもあり、例外なども存在するためそれぞれの患者さん事に検討することが必須です。自治体や年金事務所窓口などに相談してみましょう。

コメント