癌患者さんの訪問診療・訪問看護

癌患者さんへの情報

当院は周辺の連携医療機関より、癌患者さんの在宅医療を御依頼いただくことがあります。癌患者さんが直接電話相談くださって診療と看護を開始したケースも多くあります。

患者さんにより内容は様々ですが、癌患者さんの在宅医療では下記のようなことを実施することが多いです。

■痛みのコントロール

■食欲不振・吐き気のコントロール・点滴療法

■便秘・下痢のコントロール

■皮膚トラブルのケア

■癌末期のケア

それぞれ簡単に解説致します。

■痛みのコントロール

 癌に伴う痛みの感じ方は患者さんにより様々です。痛みの感じ方や程度、頻度、合併症などに応じて鎮痛薬を適切にコントロールすることで痛みを抑えることを目指します。痛み止めは市販されているような一般的なものから麻薬までたくさん種類があり、使い分けをしています。麻薬というと驚かれてしまう方も多いですが、使い方をしっかり管理すれば痛みを抑えてくれる特効薬となり、患者さんの笑顔につながることが多々あります。お腹の浅いところに痛み止めのポンプ(PCAと言います)を設置し、内服しなくても痛みを抑えてくれる環境を作ることがあります。

■食欲不振・吐き気のコントロール・点滴療法

食べられないことは命に直結する重篤な問題ですし、何よりも美味しいものを食べる喜びが失われてしまうのは悲しいことです。様々な吐き気止めを使用したり、食形態についての相談を行ったり、どうしても食べられない時は自宅で点滴をして栄養を補給したりすることで患者さんが活気を取り戻す手助けをできるようにします。

 「大病院に通院して抗がん剤治療を頑張っているけど、食欲不振等の副作用が辛くてこれ以上通院できないかも・・・」というご相談をよく受けます。自宅で点滴をしたり、少し痛み止めを調整したりすることで「なんとか通院頑張れそうです!」と治療を頑張られる方もいらっしゃいます。病院に通院して専門的な治療を頑張るために在宅医療を活用していただくことも在宅医療の大きな存在意義だと思います。

■便秘・下痢のコントロール

 癌そのものや抗がん剤の副作用などによりお通じのコントロールがつかなくなってしまうと、生活に大きな支障が出ます。食事内容や水分量の指導、下剤の調整、訪問看護師による浣腸や摘便処置により癌患者さんのお通じが気持ちよく出るのをサポートしています。「根菜類をいっぱい食べたほうが良いと聞いたんだけど本当?」「お通じをよくするって聞いて○○というサプリメントを購入しようかと思うんだけどどうですか?」など患者さんからの様々な相談に乗っています。

■皮膚トラブルのケア

 皮膚がガサガサする、かゆい、荒れる、など癌患者さんには皮膚トラブルもしばしば見られます。入浴できる環境調整や保湿剤の使用、かゆみ止めの処方などでお肌のケアを行います。皮膚トラブルは「1回おくすりを塗って完治!」のように簡単には解決できないことが多いため、診察・相談を繰り返していく中で癌患者さんが継続していくことができる最適な治療方法を探っていきます。

■癌末期のケア

 「最期をどこで迎えるか」については人それぞれの考えがあると思います。ホスピスや緩和ケア病院などと並んで「自宅」も重要な選択肢です。自宅は最期まで本人の「わがまま」を通せる環境だと思います。最後までご家族の手料理を食べ、お気に入りの家具や趣味のモノを眺めながら、ご家族に囲まれて息を引き取る、というのはコロナウイルスと共にある現代では自宅でないとなかなか実現できない最期かもしれません。在宅医療でも提供できる医療やケアは思いの外多いので、ご家族の負担なども相談しながら理想の最期を迎えられるようにお手伝いしていきます。

以上です。

癌患者さんで何かお悩みがある方がいらっしゃいましたら在宅医療(訪問診療・訪問看護)も是非検討してみて下さい。

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