褥瘡とは、主に寝たきりで動けない患者さんの皮膚が剥けてしまったり潰瘍を作ったりして、どんどん深くなっていってしまう傷のことを言います。寝たきりの患者さんの介護や看護をしている方にとっては大変頭を悩ませるものです。今回は「なぜ褥瘡ができるのか?」について簡単に解説してみます。
【褥瘡ができる原因】
・長時間圧迫による血流不全・うっ滞
・ずり応力が生じたことによる直達外力
・栄養不足による創傷治癒力欠如
・感染による炎症
少し分かりにくい言葉を使ってしまったのでそれぞれ解説します。
・長時間圧迫による血流不全・うっ滞
寝たきりとは、長時間同じ姿勢でベッドや布団等に寝ている、または座っている状態を指します。同じ姿勢でいると当然背中やおしり、足など特定の部位がずっと圧迫されることになります。ずっと圧迫されているとその部分の細い血管は圧迫されたままとなり、血流が途絶えます。血流が途絶えると老廃物等はその部分にずっと淀んでしまうことになります。やがて老廃物が溜まると、その部分は傷ができやすくなったり感染・炎症を起こしやすくなったりして非常に脆弱な状態となります。
・ずり応力が生じたことによる直達外力
上記のような脆弱な状態のところに摩擦力が生じたり、ちょっとしたきっかけで刺激が加わったりすると皮膚が「ズリッ」とめくれることがあります。それが「表皮剥離(皮膚がめくれること)」の形成です。老廃物が溜まってかゆみを生じ、患者さん自身が掻いてしまったところから褥瘡が広がっていくこともよくあります。
・栄養不足による創傷治癒力欠如
寝たきりで元気のない患者さんは食事など栄養も十分に取れていないことが多いです。そうすると上記のように形成された表皮剥離などの傷を治す材料(主にタンパク質等)が十分にその部分に配達されません。材料がなければ当然傷の治りも遅くなります。
・感染による炎症
最近(所謂ばい菌)が脆弱な部位に入ると大変です。免疫機能も低下しているため細菌がどんどん増殖してしまいます。そうするとその部分の傷の治りはもっと遅くなります。細菌が悪さをして熱を持ったり、赤く腫れ上がったりして傷は治らなくなります。
上記のような過程で形成された「褥瘡」は本当に手強いものです。それぞれの原因を丁寧に除きながら、再発まで予防していかなければなりません。また治療については今後解説してみます。
在宅医療の現場では褥瘡との戦いがつきものです。褥瘡の治療などについては医学もどんどん進歩して新しい知識が増えてきています。自己流や「今までこれで上手く行っていたから」という経験も大事ですが、最新の知識を習得しつつ患者さんそれぞれの状態・状況に合わせた治療が必要となっていきます。
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