咳止め薬がない!(咳を抑える対策)

在宅医療情報

最近、全国的に流通の問題で様々な薬剤が不足しています。特に、咳を鎮めるお薬が不足していることを痛感します。どういうことかというと、当院で患者さんを診察して、「咳が止まらない」という症状があり咳を鎮める薬を処方箋を書いて処方しても、薬局で「この薬はいまウチに無いんです・・・」と言われることが増えています。薬局や患者さんから「薬がない(って言われたんですが)」とお困りの問い合わせを頂くことが大変増えています。

そのような場合、患者さんの症状やデータを基に代替薬を検討することが多いですが、薬がもしなかった場合、少しでも咳を鎮める手段を見つけたいと思います。患者さん方からも「咳を抑えるのにやった方が良いことはありますか?」とよく聞かれます。私が個人的にお勧めしている下記の方法を御紹介します。

【咳を鎮める方法】

・たばこをやめる、やめさせる

・部屋をよく掃除する(エアコンフィルターも含む)

・羽毛布団、動物の毛皮などを処分する

・はちみつレモンティーを飲む

・保湿をする

・たばこをやめる、やめさせる

 訪問診療をするとよく経験することなのですが、「咳が全然治まらないです・・・。」と困っている患者さんの隣でご家族がスパスパとたばこを吸っている・・・ということがあります。たばこの煙が有害なことは皆様御存知だとは思いますが、特に咳が止まらないような状態の方にはまさに「泣きっ面に蜂」「傷口に塩を塗る」状態です。たばこの煙は気道(空気の通り道)の粘膜を刺激するので、咳を直接誘発しますし、気道の過敏性(咳が起こりやすくなる敏感性)を上げてしまいます。咳でお困りの方はまずたばこをやめる、または近くの方のたばこをやめさせる!ということをお試し下さい。

 ちなみに、「たばこは別の部屋・外で吸っている」「職場でしか吸っていない」というのも意味はありません。喫煙者の方の服や髪などに付着したたばこの成分が咳をしている人に届けば、結局咳を誘発することになります。咳で困っているご家族がいる方は、是非この機会に禁煙を頑張ってみて下さい。

・部屋をよく掃除する(エアコンフィルターも含む)

 ホコリ、ダニ、ハウスダストなどは咳を誘発する原因になります。知らず知らずのうちに、ホコリが溜まっている場所はないでしょうか?窓際のサッシや家具の下など、普段掃除機の届かないところに大量のホコリが溜まっているということはよくあります。

 エアコンフィルターはできるだけ頻繁に掃除しましょう。なかなか高齢の方だと掃除が難しいかもしれません。ご家族がたまに高齢のご家族を訪問された時は、是非エアコンフィルターも掃除してあげて下さい。なかなか面倒くさい作業と思われがちですが、最近のエアコンはフィルター掃除もしやすく設計されていることが多く、一度やってみると案外簡単です。お風呂場や洗面所の換気扇のフィルターも「パコッ」と外して洗うのが簡単だったりします。

・羽毛布団・動物の毛皮を処分する

 これは医師の診断が必要になりますが、鳥の羽毛や動物の毛皮が咳の原因となっていることがあります(過敏性肺炎の一種です)。この場合、原因である鳥や動物の毛皮から離れない限り咳は治まりません。鳥の羽毛が原因で咳が起きている、と診断されてしまった場合は残念ながら羽毛布団は捨てた方が良いです。

 すごく悲しい例なのですが、私の患者さんにも「鳥関連過敏性肺炎」(鳥の毛皮が原因で咳が止まらない)と診断された方が居ます。その方は何年も何十万円もした高級羽毛布団を愛用されていました。泣く泣くその高級羽毛布団を捨てたところ、咳が落ち着いて穏やかに眠れるようになりました。

 これはほんの一例であり、羽毛布団が必ずしも悪いとは限りません。止まらない咳にお悩みの方はまずはしっかり検査を受けて咳の原因を突き止めてもらいましょう。

・はちみつレモンティーを飲む

 はちみつが咳を抑制することは複数の論文でも証明されています。特にある論文では、はちみつ入りコーヒーを飲んでいるとステロイドで治療するよりも咳を抑える効果が高かった、という説まであります (Primary Care Respiratory Journal 2013; 22: 325-330)。ただし、この論文では「20.8gのハチミツ(結構な量です)を入れたコーヒーを8時間毎に飲み続ける」という条件で研究が実施されており、なかなか現実的ではない印象です。

 個人的におすすめなのは寝る前のはちみつレモンティーです。カフェインを飲むと眠れない方であればノンカフェインでも良いと思います。リラックスして甘くて美味しい紅茶を飲むことで、多少咳が抑制されるように思います。糖尿病のある方などははちみつのとりすぎに注意して下さい。

・保湿をする

 冬場などの乾燥シーズンは咳も起こりやすくなります。加湿器をつけたり、保湿効果のあるマスクをつけたりすることで、気道(空気の通り道)の乾燥を防ぎ、気道の過敏性(咳が起こりやすくなる敏感性)を下げる効果が期待できます。

 ただし、手入れのされていない加湿器はカビやハウスダストの温床となることがあり注意が必要です。きちんと定期的に掃除して加湿器を使用するようにしましょう。

上記が個人的におすすめの咳対策です。咳が止まらないのは本当につらい状態だと思います。上記の方法が少しでも咳改善の助けになれば幸いです。

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