熱中症について

在宅医療情報

 地球温暖化の影響で、毎年夏の最高気温が更新され熱中症にかかる方が増加しています。

 すでにご存じの方、対策をしている方も多いと思いますが今一度熱中症について確認、予防と対策についてみてみませんか?

1:「熱中症」はいつから世の中に出だしたの?

 昔は強い直射日光に長時間当たることで発生する「日射病」や、屋内外を問わず高温多湿な環境下に長時間いたり作業をしたりしたりしたときに起こる「熱射病」と、呼ばれ方が様々でしたが、2000年からすべて「熱中症」に統一されたようです。

 「熱射病」や「日射病」という呼び方がなくなったわけではなく、症状ごとに表現を変えなくても総じて呼べる名前として、「熱中症」がよく使われるようになったそうです。

2:熱中症って?どうして起こるの?

 熱中症とは、高温多湿な環境に私たちの身体が適応できないことで生じるさまざまな症状の総称です。

 若年~中年にみられることが多い「労作性熱中症」は、数時間以内で急激に発症する傾向があり、高齢者にみられることが多い「非労作性(古典的)熱中症」は、数日以上かかって徐々に悪化する傾向があります。高い気温だけでなく、高い湿度だけでも熱中症を発症することがありますが、高齢者の日常生活の中では、気温が低ければ湿度が高くても発症する可能性は少ないといわれています。

 近年来日する外国人も、日本の夏が蒸し暑いことや熱中症の予防・対策法を知らないことにより、救急搬送される方が多くみられているようです。

 熱中症の多くは身体が暑さに慣れていない梅雨明け後に気温が急上昇した日や暑さが長く続いた時期に発症し、年々救急搬送者の数が増加しているようです。

3:熱中症の症状 ~こんな症状は熱中症かも?~

1)めまいや顔のほてり

・めまいや立ちくらみ、顔がほてるなどの症状が出たら、熱中症のサインです。 一時的に意識が遠のいたり、腹痛などの症状が出る場合もあります。

2)筋肉痛や筋肉のけいれん

・「こむら返り」と呼ばれる、手足の筋肉がつる、しびれるなどの症状が出る場合があります。 筋肉がピクピクとけいれんしたり、硬くなったりすることもあります。

3)体のだるさや吐き気

・体がぐったりして力が入らない、吐き気や嘔吐、頭痛などを伴う場合もあります。

4)汗のかきかたがおかしい

・ふいてもふいても汗がでる、もしくは全く汗をかいていないなど、汗のかきかたに異常がある場合には、熱中症にかかっている危険性があります。

5)体温が高い、皮ふの異常

・体温が高くて皮膚を触るととても熱い、皮ふが赤く乾いているなどの症状も熱中症のサインです。

6)呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない

・声をかけても反応しなかったり、おかしな返答をしたりする。または、体がガクガクとひきつけを起こす、まっすぐ歩けないなどの異常があるときは、重度の熱中症にかかっています。すぐに救急車を呼んで医療機関を受診しましょう。

7)水分補給ができない

・呼びかけに反応しないなど、自分で上手に水分補給ができない場合は大変危険な状態です。この場合は、むりやり水分を口から飲ませないですぐに救急車を呼んで医療機関を受診しましょう。

【こんな人は要注意です】

子どもや高齢者

屋外で働く人

キッチンで火を使う人

スポーツをする人、観戦する人

犬や猫を飼っている人

室内で過ごす人

車に乗る人

家族やペットを車に乗せる人

ここが重要です

~もし熱中症かなと思ったら~

①すぐに医療機関へ相談、または救急車を呼びましょう

②涼しい場所へ移動しましょう

③衣服を脱がし、体を冷やして体温を下げましょう

④塩分や水分を補給しましょう(嘔吐していたり意識がない場合は、むりやり飲ませることはやめましょう)

4:熱中症予防 ~暑さへの備え、工夫をしよう~

1)「水分」をこまめにとろう

・のどが乾いていなくても、こまめに水分をとりましょう。スポーツドリンクなどの塩分や糖分を含む飲料は水分の吸収がスムーズにでき、汗で失われた塩分の補給にもつながります。

※「水」だけではなく、スポーツドリンクやクエン酸入りドリンクもよいでしょう。

※外出の際は、こまめに水分補給ができるよう、水筒やペットボトルを持ち歩くといいですね

2)「塩分」を適度に取ろう

・過度に塩分をとる必要はありませんが、毎日の食事を通して適度に塩分をとりましょう。大量の汗をかく時は、特に塩分補給をしましょう。

※塩分タブレット、塩飴など持ち歩くのもいいですね。

※かかりつけ医から水分や塩分の制限をされている場合は、よく相談の上、その指示に従いましょう。

3)「睡眠環境」を快適に保とう

・通気性や吸水性の良い寝具にしたり、エアコンや扇風機を適度に使って睡眠環境を整え、寝ている間の熱中症を防ぐと同時に、日々ぐっすりと眠ることで翌日の熱中症を予防しましょう。

4)「丈夫な身体」をつくろう

・バランスのよい食事やしっかりとした睡眠をとり、丈夫な体をつくりましょう。体調管理をすることで、熱中症にかかりにくい体づくりをすることが大切です。

5)「気温と湿度」をいつも気にしよう

・いま自分のいる環境の気温や湿度をいつも気にしましょう。屋内の場合は、日差しを遮ったり風通しを良くすることで、気温や湿度が高くなるのを防ぎましょう。

・扇風機やエアコンで室温を適度に下げましょう。過度の節電や「この程度の暑さなら大丈夫」とガマンしてはいけません。室内に温湿度計があるといいですね。

6)「衣服」を工夫しよう

・衣服を工夫して暑さを調整しましょう。衣服は麻や綿など通気性のよい生地を選んだり、下着には吸水性や速乾性にすぐれた素材を選ぶとよいでしょう。

7)「日差し」をよけよう

・外出時は帽子をかぶったり、日傘をさすことで直射日光を避けましょう。また、なるべく日陰を選んで歩いたり、日陰で活動したりするようにしましょう。

8)「冷却グッズ」を身につけよう

・冷却シートやスカーフ、氷枕などの冷却グッズを利用しましょう。毎日の生活で使えるものから夏の寝苦しさをやわらげるようなものまで、さまざまなグッズがあります。首元など太い血管が体の表面近くを通っているところを冷やすと、効率よく体を冷やすことができます。

・タオルに凍らせた保冷剤を包んで首に巻くと、タオルで汗も吸い取り快適です(個人的感想です笑)

9)「休憩」をこまめにとろう

・暑さや日差しにさらされる環境で活動をする時などは、こまめな休憩をとり、無理をしないようにしましょう。

10)「熱中症指数」を気にしよう

・携帯型熱中症計を持ち歩いたり、テレビやWebなどで公開されている暑さ指数、熱中症警戒アラートで熱中症の危険度を気にしましょう。

5:熱中症予防のおすすめの食品、メニュー

1)梅干し

・体内でエネルギーを作り出す回路の中心的役割を担うクエン酸が含まれています。クエン酸の酸味は食欲アップにも繋がります

★冷奴やそうめんに乗せてみたり、しらすと和えても美味しいです。

2)豚肉🐷

豚肉にはビタミンB1が‘豊富です。ビタミンB1は、糖質からのエネルギー産生を促す働きがあり、暑さによる倦怠感の軽減が期待できますよ。ビタミンB1が不足すると食欲不振の原因にもなるため、積極的に取り入れるとよいでしょう。

★冷しゃぶ、生姜焼き、そぼろご飯、とんかつ(油の取り扱いにはご注意を!)など

3)納豆

納豆にはビタミンB1のほか、汗とともに失われやすいカリウムが含まれています。カリウムはミネラル(電解質)の一種で、不足すると脱力感や食欲不振などに繋がります。ミネラルは体内で作り出すことができないため、食べ物や飲み物から摂る必要があります。

★納豆とオクラのネバネバ和えなど

4)夏野菜🥒🍅🍆🍉

・夏に旬を迎えるトマトやナス、きゅうり、すいかなどの夏野菜は、水分やカリウムを多く含んでいます。水分やカリウムのようなミネラルは汗とともに失われるため、意識して摂ることが大切です。また、夏野菜を食べると水分を摂ることができるうえ、カリウムの利尿作用によって身体を内側から冷やすはたらきも期待できますよ!

★夏野菜のパスタ、夏野菜のラタトゥイユ、ナスの煮びたしなど

  

                 ※参考文献

・環境省「熱中症環境保健マニュアル2018」

     ・「熱中症ゼロへ」

今月のブログ担当;中尾看護師

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